生活習慣悪化で脳卒中の危険2倍

 糖尿病や高血圧といった生活習慣病のリスクを判断する40~74歳を対象とした特定健康診査(メタボ健診)で、食事や飲酒などの生活習慣が悪い人はいい人に比べて脳卒中になる危険が約2・2倍高いことが、金沢大付属病院循環器内科の多田隼人助教の調べで分かった。

 研究成果をまとめた論文は12月3日、米国の科学誌「プロスワン」オンライン版に掲載された。健診の質問と病気との相関関係が浮き上がり、多田助教は「保健指導に役立ててほしい」と話している。

 メタボ健診は2008年から厚生労働省が導入した。質問票には、服薬状況や既往歴などを聞く22項目があり、生活習慣病の恐れがある受診者へ保健指導する際に活用される。このうち生活習慣を尋ねる12項目が、どの程度病気と関連があるか検証した。

 多田助教は、14年に金沢市でメタボ健診を受けた4万7842人のデータを解析。脳卒中や心臓病など動脈硬化性疾患にかかったことがあると答えた人と、そうでない人を比較した。

 その結果、「お酒を飲む頻度」や「たばこを習慣的に吸っている」など生活習慣を尋ねる12項目のうち、悪い生活習慣が半数を超える7項目以上あった人は、3項目以下の人に比べて、脳卒中になるリスクが約2・2倍、心臓病では約1・8倍高かった。

 特に「人と比較して食べる速度が速い」「就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ある」と答えた人は、脳卒中のリスクが高い傾向にあった。一方「夕食後に間食をとることが週に3回以上ある」「朝食を抜くことが週に3回以上ある」では、回答と動脈硬化性疾患に関連が見られなかった。

 厚労省によると、特定健診以外の健康診断でもこれらの質問項目は使われている。多田助教は「具体的にリスクの数値を伝えれば、受診者も生活習慣を改善しようという気持ちになるのでは」と期待する。

 本年度から指針の見直しで、質問の一部は変更されているが「引き続き使われている項目の中にも脳卒中と関係のある項目がある。今回の研究をきっかけに新しい項目でも検証が進めば、健診がより意味あるものになる」と強調した。