歯周炎は女性の方が悪影響、心臓に直接的な有害性

 歯周炎と心臓や血管の病気との関係が言われることがあるが、女性と男性を比べると、歯周炎は女性に対してより悪影響が大きいという研究報告が出ている。

 イタリア、カリアリ大学の研究グループが、歯科専門誌のジャーナル・オブ・エンドドンティクス誌で2015年3月20日に報告した。

血管や炎症への影響を見る

 研究グループは、歯の根元で炎症が起きる「根尖性歯周炎(AP)」が心臓や血管の病気にどのような影響を及ぼしているかを検証した。対象としたのは、20歳から40歳の根尖性歯周炎を患う男女。

 炎症に関係する指標のほか、血管の機能と関係したいくつかの指標を確認していった。具体的には、血流への血管の対応力を示す「内皮血流予備能(EFR)」、血管を広げる作用のある一酸化窒素合成酵素(NOS)を邪魔する「非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)」。

 異物への反応を示す指標として、攻撃力を高める「インターロイキン2(IL-2)」や「腫瘍壊死因子α」「活性酸素種(ROS)」も調べている。

女性ホルモンが影響か?

 根尖性歯周炎の男女はともに内皮血流予備能が低下して、インターロイキン2が増加していた。

 活性酸素種は女性のみで増加。非対称性ジメチルアルギニンは男性のみで増えていた。

 男性では非対称性ジメチルアルギニンが増えるほど、インターロイキン2が増えて、内皮血流予備能は低下した。

 女性ではROSとEFRの間で有意な負の相関が認められた。

 男性での根尖性歯周炎は血管の働きに影響する一方で、女性では活性酸素が増えており、より直接的な有害作用が出てくると示された。

 研究グループは、「差は女性のエストロゲンの血管の保護作用が関係している」と推定する。

 歯の治療は早めにしたい。