メディア漬けで子供の虫歯増加?

富山大、子供の虫歯予防に関する新知見発表

富山大学は5月29日、同大地域連携推進機構地域医療保健支援部門が高岡市内の5つの小学校に通う1~6年生までの全児童2,109名を対象として、2016年1月にアンケート調査を実施し、子どもの虫歯予防に関する新たな知見を発表した。

 今回の調査は、富山県教育委員会との連携事業として、2014年に実施された文部科学省スーパー食育スクール事業の追加調査。有効回答数は1,651名。あすなろ小児歯科医院の浅香有希子歯科医師、同大の山田正明助教らの研究グループが分析を行った。

 その結果、虫歯のある子ども(虫歯の治療中あるいは未治療の虫歯があると回答した子ども)は、全体の9.2%。また、虫歯は、長時間メディアを利用する、睡眠時間が短い、朝食を欠食する子どもに多いことがわかったという。

 1日のメディア利用時間が2時間未満の子どもの虫歯の割合が8.6%であったのに対して、2~4時間では9.8%、4時間以上では15.4%と、利用時間が長い子どもほど虫歯があった。また睡眠時間に関しても、睡眠時間が9時間以上の子どもの虫歯の割合が6.4%だったのに対して、8~9時間睡眠では、8.5%、8時間未満の睡眠では14.2%と、睡眠時間が短いほど、虫歯の子どもの割合が増加した。さらに朝食に関しても毎日食べる子どもを基準とすると、時々食べる子どもでは1.9倍、ほとんど食べない子どもでは3.9倍虫歯になる割合が高くなったという。

 近年、乳幼児期からのフッ素塗布などの予防活動により、虫歯のある子どもの数は減少傾向にあるが、今回の調査から生活習慣が乱れている子どもには虫歯が多いことが明らかとなった。「歯を磨く」だけではなく「しっかり寝る」といった望ましい生活習慣の確立が、虫歯予防に重要である、と研究グループは述べている。