心停止状態の人に電気ショックを与える自動体外式除細動器(AED)による蘇生処置を、搬送前に一般市民から受けた場合、救命され社会復帰できる割合が2倍以上になることが2005~13年の全国の患者のデータ解析で分かったと、京都大などのチームが米医学誌に27日、発表した。
チームの石見拓(いわみ・たく)教授(蘇生科学)は「公共の場にAEDを設置する意義が裏付けられた。さらに活用が進むようにしたい」と話している。
チームは、心停止で救急搬送された患者を対象にした05~13年の総務省消防庁の調査データを用い、心室細動を起こし搬送された際、一般市民によるAEDを使った蘇生を受けたかどうかで回復状況に違いがあるか調べた。
すると、社会復帰できた割合は、AED処置を受けなかった患者では18・2%にとどまったが、受けた場合は38・5%と2倍以上だった。
さらに分析した結果、AEDを一般市民が使ったことで社会復帰できた人は05~13年に計835人いたと推定されることが判明した。
石見教授は「調査した9年間のAEDの販売数は少なくとも約50万台あり、この台数を考えると救命された人はまだ少ない」と指摘した。