英語学習でダイナミックに変化、サボると戻る
国立精神・神経医療研究センターは8月21日、脳は外国語学習により、従来から想定されていた以上に柔軟に容積が増大し、領域間の連結が増強することを明らかにしたと報告した。
先進脳画像研究部の花川隆氏らは「脳局所の構築変化」と「脳局所間の連結」の両方を経時的に評価する方法を開発した。英語語彙学習プログラムを受ける24人と受けない20人の2群に分けて一方の群に英語学習を行わせた上で、脳MRI検査と英語能力テスト(TOEIC)を実施した。学習群ではTOEIC点数が30%アップし、右前頭野44野の容積増加と、尾状核への連結増強と相関していた。非学習群では変化は見られなかった。
また、1年後に学習群に対し同じ検査を行ったところ、ほとんどはTOEIC点数が低下し、脳の変化も学習前に近い状態に戻っていた。一部、自発的に英語学習を続けていた人では、点数の低下がなく、脳容積の増大や連結の増強といった脳の変化もより増強した形で保たれていた。
さらに137人の日本人成人を対象に英語語彙テストを実施したところ、語彙能力が高いほど右前頭野44野の容積増加と、尾状核への連結増強が発達していることが分かった。
花川氏らは、「学習によって脳が変化し得るレパートリーは、従来考えられていたより幅広い。今回開発した手法は、外国語学習以外の学習メカニズムの解明に役立つとともに、言語障害リハビリテーションへの支援などにも貢献できる」と期待を述べている。